辨 |
ウバユリ属 Cardiocrinum(大百合 dàbăihé 屬)には、東アジア・ヒマラヤに3種がある。
C. cathayanum (Lilium cathayanum; 蕎麥葉大百合) 安徽・江蘇・浙江・江西・兩湖産
C. cordatum
ウバユリ var. cordatum 花は長7-10cm
オオウバユリ var. glehnii(C. glehnii) 花は長10-15cm
ヒマラヤウバユリ C. giganteum (大百合・心葉百合・大葉百合・山菠蘿根)
陝西・湖南・廣西・・四川・チベット・ヒマラヤ産 『週刊朝日百科 植物の世界』10-19
『全國中草藥匯編 上』pp.141-142
var. yunnanensis (雲南心葉百合)
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ユリ科 Liliaceae(百合 băihé 科)については、ユリ科を見よ。 |
訓 |
小野蘭山『本草綱目啓蒙』9 貝母の条に、蕎麦葉貝母は「俗名ガハユリ京 ヱイザンユリ テングユリ共ニ同上 バカユリ ミヅユリ ネズミユリ ゴボウユリ筑前 シカカクレユリ同上 ウバユリ阿州勢州 ヤマカブラ加州 カシハユリ江州 メギワ河州 メクワキ同上 ハユリ濃州若州 サルタヒコ ウバガユリ勢州 ヤマカブ越後 ギワヰ播州 ヤゝ備後 ヤマグワヰ勢州」と、また「花ヲ開クトキ葉 已に枯レテナシ。故ニ(「歯が無い」にかけて)ウバユリノ名アリ」と。 |
説 |
本州(宮城・石川以西)・四国・九州に分布。 |
誌 |
鱗茎から良質の澱粉を採るほか、嫩葉・鱗茎を食用にする。 |
中国では、同属の大百合の根を薬用にする。 |
日本では、『花壇地錦抄』(1695)巻四・五「草花 夏之部」に、「姥ゆり 末。花色青し。ほそ長ク横へむきてさく。葉ハ大きくして、花時分ハ落てなし」と。 |
「又山林にしかかくれゆりと云ふ物あり。葉はいもの葉のごとく光ありてひろく長し。根は即ちつねのゆりのごとし。是又煮て食する事つねのゆりのごとし」(宮崎安貞『農業全書』1697)。
『大和本草』に、「シカカクレユリ 西土ノ野人ハ牛蒡ユリト名ツケテ煮テ食ス、其味卷丹ニ似テ甘いシ」と。 |